全身麻酔~麻酔で意識がなくなるとは?

今回は「全身麻酔」について書きます。

まず全身麻酔とは?

全身麻酔の特徴

全身麻酔の四要素、といえば、以下の四つがあります。

  1. 意識消失(意識がなくなる)
  2. 鎮痛(痛みがおさまる。痛みを感じなくなる。)
  3. 無動化(筋弛緩など)(動かなくなる)
  4. 反射抑制(反射が抑えられる。)

これらについて、

  • 「2.鎮痛」は鎮痛薬で引き起こせます。
  • 「3.無動化(筋弛緩)」は、筋弛緩剤などでも引き起こせます。
  • 「4.反射抑制」も同様に、筋弛緩剤などでも引き起こせます。

このように2~4については、全身麻酔薬以外でも引き起こすことはできます。

一方で「1意識消失」というものは、全身麻酔の特有の効果です。

全身麻酔薬を投与すると、

  • 意識消失(意識がなくなる)
  • 呼吸停止(呼吸が止まる)
  • 循環抑制(心臓の働きが弱まる)

といった作用も出てくるので、注意が必要です!(医療現場では、循環・呼吸管理を行う)

全身麻酔の歴史

全身麻酔の歴史の始まりは、日本です!といってもよいでしょう。

世界初の全身麻酔下外科手術は1804年、華岡青洲によって行われました。

この全身麻酔薬のために、彼の母は亡くなり、妻も失明したという、深いお話もあります........

そんなところから始まり、今や、全身麻酔はいたるところで使われています。

全身麻酔薬の種類

全身麻酔薬には2種類があります。

  • 吸入麻酔薬(肺からの麻酔薬)
  • 静脈麻酔薬(点滴の麻酔薬)

吸入麻酔薬としては「フッ化物」

静脈麻酔薬としては

などがあります。

麻酔薬の作用機序

全身麻酔は、どうして起きるか明らかにされていない!」なんて話がよく言われています。

ただ、分かっているところもあります。作用機序は、「麻酔薬はGABAA受容体に作用する」ということです。

では、なぜ、「全身麻酔はどうして起こるかわからない!」なんて言うのでしょう?

それは、「全身麻酔で我々の意識がなくなるから」です。GABAA受容体に薬が作用して、全身麻酔が起きるのは分かっているのですが、

  • 「じゃあ、我々の意識がなくなるってどういうこと?」
  • 「そもそも、我々の意識って何?」

みたいな話につながるため、「意識とは何か?」が明確に定義できない今では、「意識がなくなる理由は明らかでない」とするしかないのです。

そのほかの知識

麻酔薬には作用時間があり、一般に持続投与時間が長いほど、そこからの覚醒に時間がかかります。

また、すぐに効く麻酔薬はすぐに効果を失ってしまいます。(手術の導入部分で、すぐに効く麻酔薬を使うことが多い)