微生物の宿主まとめ(固有宿主・中間宿主・多宿主・人体への寄生部位)
宿主の定義
「宿主」とは微生物の話をするときに必ず出てくる言葉です。
medudent-basicmedicalscience.hatenablog.com
こちらの記事に書いてありますが、ウイルスは単体では生存できません。何か他の生物(細菌やヒトなど)に寄生することで生存できます。
この寄生先のことを宿主といいます。
宿主の分類
まず、宿主の分類を覚えましょう。
宿主は固有宿主と非固有宿主に分かれます。
この分類の仕方は、「微生物から見た宿主先」の分け方です。
- 固有宿主:微生物が体内で発育・増殖できる宿主
- 非固有宿主:体内では増殖できない宿主
このような違いです。つまり、
- 固有宿主の中では、微生物は増えることはできるけど、
- 非固有宿主の中では増えない(ただ間借りさせてもらっている)
と違うわけです。
固有宿主について
固有宿主
固有宿主の中では、微生物は増えます。微生物は宿主内で成長し、子供まで生んだりします。
多宿主性
多宿主性とは
多宿主性とは「固有宿主が複数あること」です。
(必ずしもすべての微生物が多宿主性を有するとは限りません。固有宿主が一つだけの微生物もいます。)
つまり、他宿主性のある微生物Aは、ヒトに寄生してヒトの体の中で増えることもあるし、ウシに寄生してウシの中で増えることもあります。
このように、複数の固有種がいる微生物について「多宿主性がある」と言います。
主宿主と保虫宿主
多宿主性の微生物は、たくさんの宿主先があるわけですが、その中でも、特に大切な宿主先とどうでもよい宿主先があります。
- 複数の固有宿主の中で重要なものを主宿主
- 重要でない宿主先を保虫宿主
といいます。
例えば、日本住血吸虫という微生物がいます。
こいつは、ヒトを主宿主とします。一方で、保虫宿主として、水牛やブタがいます。
つまり、この微生物の感染を止めるためには、「ヒト」と「ブタなど保虫宿主」の
両方に感染対策をしなければなりません。
「ヒト」のみで感染を止めても、「ブタ」からヒトに感染は広まるため、感染を止めるのが難しいのです。
非固有宿主
非固有宿主とは
微生物は、寄生先で増えることができません。
寄生先では死滅するか、幼虫のまま生きることになります。
非固有宿主の分類
非固有宿主は
- 中間宿主
- 待機宿主
の2つに分けられます。では、この2つについて見ていきましょう。
中間宿主
中間宿主は、「発育の場を提供する」非固有宿主です。(発育するのみであって増殖はしない。)
中間宿主の中で微生物は成長します。そして、この中間宿主が別の生き物に食べられます。そうすると、微生物も一緒に他の生物の中に移動します。
こうして、微生物は他の生物に移動していくのです。
待機宿主
待機宿主は反対に、「発育の場にならない」非固有宿主です。(増殖もしないし、発育もしない)
微生物は待機宿主の中で、次の寄生先を待っています。
幼虫は、この待機宿主の中で、生きます。
ただ、成長などはせず、次の寄生先が来てくるまで待ちます。