微生物の宿主まとめ(固有宿主・中間宿主・多宿主・人体への寄生部位)

宿主の定義

「宿主」とは微生物の話をするときに必ず出てくる言葉です。

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こちらの記事に書いてありますが、ウイルスは単体では生存できません。何か他の生物(細菌やヒトなど)に寄生することで生存できます。

この寄生先のことを宿主といいます。

宿主の分類

まず、宿主の分類を覚えましょう。

宿主は固有宿主非固有宿主に分かれます。

この分類の仕方は、「微生物から見た宿主先」の分け方です。

  • 固有宿主:微生物が体内で発育・増殖できる宿主
  • 非固有宿主:体内では増殖できない宿主

このような違いです。つまり、

  • 固有宿主の中では、微生物は増えることはできるけど、
  • 非固有宿主の中では増えない(ただ間借りさせてもらっている)

と違うわけです。

固有宿主について

固有宿主

固有宿主の中では、微生物は増えます。微生物は宿主内で成長し、子供まで生んだりします。

多宿主性

多宿主性とは

多宿主性とは「固有宿主が複数あること」です。

(必ずしもすべての微生物が多宿主性を有するとは限りません。固有宿主が一つだけの微生物もいます。)

つまり、他宿主性のある微生物Aは、ヒトに寄生してヒトの体の中で増えることもあるし、ウシに寄生してウシの中で増えることもあります。

このように、複数の固有種がいる微生物について「多宿主性がある」と言います。

主宿主と保虫宿主

多宿主性の微生物は、たくさんの宿主先があるわけですが、その中でも、特に大切な宿主先とどうでもよい宿主先があります。

  • 複数の固有宿主の中で重要なものを主宿主
  • 重要でない宿主先を保虫宿主

といいます。

例えば、日本住血吸虫という微生物がいます。

こいつは、ヒトを主宿主とします。一方で、保虫宿主として、水牛やブタがいます。

つまり、この微生物の感染を止めるためには、「ヒト」と「ブタなど保虫宿主」の

両方に感染対策をしなければなりません。

「ヒト」のみで感染を止めても、「ブタ」からヒトに感染は広まるため、感染を止めるのが難しいのです。

非固有宿主

非固有宿主とは

微生物は、寄生先で増えることができません。

寄生先では死滅するか、幼虫のまま生きることになります。

非固有宿主の分類

非固有宿主は

  • 中間宿主
  • 待機宿主

の2つに分けられます。では、この2つについて見ていきましょう。

中間宿主

中間宿主は、「発育の場を提供する」非固有宿主です。(発育するのみであって増殖はしない。)

中間宿主の中で微生物は成長します。そして、この中間宿主が別の生き物に食べられます。そうすると、微生物も一緒に他の生物の中に移動します。

こうして、微生物は他の生物に移動していくのです。

待機宿主

待機宿主は反対に、「発育の場にならない」非固有宿主です。(増殖もしないし、発育もしない)

微生物は待機宿主の中で、次の寄生先を待っています。

幼虫は、この待機宿主の中で、生きます。

ただ、成長などはせず、次の寄生先が来てくるまで待ちます。