医動物・原虫の分類「根足・鞭毛・胞子」or「寄生部位による分類」

今回は「医動物」の学習をしていきます。

医動物とは何か?

医動物とは、いわゆる

  • 「微生物の内の、細胞性微生物」
  • 「細胞性微生物の中でも、特に真核生物」

のことです。

このページで、医動物について、もっと詳しく学習していきます。今日は特に、「原虫」について学習します。特に、「原虫の分類方法」について学習します。(医動物=原虫+蠕虫+真菌)

以下、細胞性微生物~真核生物=原虫+蠕虫 で学習た内容を含みます。

原虫類の特徴

原虫類は「運動性ある従属栄養の動物性単細胞真核生物」です。接触、運動、代謝、生殖を単細胞で行います。

  • 個体は単一細胞
  • 無性生殖(胞子虫類は無性生殖と有性生殖の両方)

このような特徴があります。

原虫類の分類

根足・鞭毛・胞子

原虫類は以下の3つに分けられます。

    • 根足虫類(赤痢アメーバ など)
    • 鞭毛虫類(アフリカトリパノソーマ・膣トリコモナス など)
    • 胞子虫類(マラリア原虫・トキソプラズマ原虫・サイクロスポーラ など)

以上の内容は細胞性微生物~真核生物=原虫+蠕虫 でも学びました。

根足虫類 赤痢アメーバ
アカントアメーバ
鞭毛虫類 ランブル鞭毛虫
トリコモナス
トリパノソーマ
リューシュマニア
胞子虫類 プラスモジウム
トキソプラズマ
クリプトポジウム
サイクロスポラ
イソスポラ
繊毛虫類 パランチジウム

今回は別の分類法で学習します。

寄生部位による原虫の分類

寄生部位による原虫の分類もできるのです。

      • 腸管寄生原虫
      • 血液・組織寄生原虫
      • 泌尿生殖器寄生原虫
  • 腸管寄生原虫は以下の赤字です。
  • 血液・組織寄生原虫は以下の青字です。
  • 泌尿生殖器寄生原虫は以下の緑字です。
根足虫類 赤痢アメーバ
アカントアメーバ
鞭毛虫類 ランブル鞭毛虫
トリコモナス
トリパノソーマ
リューシュマニア
胞子虫類 プラスモジウム
トキソプラズマ
クリプトポジウム
サイクロスポラ
イソスポラ
繊毛虫類 パランチジウム

完全に言い切れない所もありますが、大まかにはこんな感じです。

寄生部位による分類のメリット

「根足・鞭毛・胞子」による分類は、「原虫の見た目」で分類する方法でした。分かりやすい分類方法です。

では、「寄生部位による分類」のメリットは?

それは「寄生部位が似ているものは、病態なども似ている」という事です。

例えば、「腸管寄生原虫」は下痢を起こすことが多いです。下痢で人間の体から出て、感染を広げたりします。

このように、見ため以外の特徴が、似ていることがあるのです。

このような分類があることも知っておきましょう。

以上「医動物学各論~原虫の分類「根足・鞭毛・胞子」or「寄生部位による分類」」でした。

腸管寄生原虫

腸管寄生原虫は字のごとく、腸管に寄生します。

  • 動物との接触
  • 飲料水・汚水
  • 肉・果物・野菜

などが感染経路となります。

嚢子(シスト)が口から体内に入り、シストは体内で栄養型となり一部はメロゾイドになります。そして、シスト・メロゾイドはは体外に排出され、シストは感染していきます。

赤痢アメーバ

赤痢アメーバ症を引き起こします。

熱帯・亜熱帯の非衛生的な地域で流行しています。

汚染された手や汚染飲食物・汚染水道水などにより、糞口感染を起こします。

  • アメーバ赤痢(イチゴゼリー状の粘血便)
  • アメーバ性腸炎

を引き起こします。

慢性化すると、以上の症状を数週間ごとに繰り返します。

パロモマイシン・フロ酸ジロニキサニドにて治療します。

ランブル鞭毛虫(ジアルジア)

ジアルジア症を引き起こします。

衛生状態の悪い熱帯・亜熱帯で流行しています。

小動物も感染し、人獣共通感染症です。

性行為でも感染します。(男子同性愛者に多い)

感染経路はシストの糞口感染がメインです。

日本ではほとんど見られなくなっていました。

ただ、最近その数は増えており、再興感染症の一つになっています。

下痢がジアルジア症では有名です。

メトロニダゾール・チニダゾールで治療します。

クリプトスポジウム

クリプトスポリジウム症を引き起こします。

世界で広く分布しています。(3億人程度)

AIDS患者で合併していることが多いです。

家畜の腸管寄生中で有名でした。

汚染された手や汚染飲食物・汚染水道水などにより、糞口感染を起こします。

下痢症・腹痛を起こします。

検便で検査しますが、

健常人では対症療法で改善します。

泌尿生殖器系寄生原虫・膣トリコモナス

性感染のみで広がります。

  • 女性:膣炎・外陰部のかゆみ
  • 男性:軽症

と性差もあります。

患者とそのパートナーの治療が必須となります。(メトロニダゾール・チニダゾールでの治療を行います。)

原虫・血液・組織寄生原虫

トリパノソーマ科

トリパノソーマ科は、トリパノソーマ属とリューシュマニア属に分けられる。

トリパノソーマ属

アフリカ睡眠病

ブルーストリパノソーマによる病気です。

無治療で3年で死亡してしまいます。

ツェツエバエが媒介します。アフリカに多い

シャーガス病(別名:アメリカトリパノソーマ症)

クルーズトリパノソーマによる病気で中南米に多い。

サシガメによる媒介や輸血により感染する

リューシュマニア属

リューシュマニア症を引き起こす人獣共通感染症です。

サシショウバエが媒介します

地域によって症状は異なります。

  • ドノバン リューシュマニア(内臓リューシュマニア症・発熱・肝脾腫)
  • 熱帯 リューシュマニア(皮膚リューシュマニア症・皮膚結節)
  • ブラジルリューシュマニア(粘膜皮膚リューシュマニア症・粘膜などの潰瘍や欠損)
  • メキシコリューシュマニア(メキシコリューシュマニア症・顔などの損傷)

トキソプラズマ

終宿主は猫。

つまり、寄生中の有性生殖は、猫の体内で行われる。

ほ乳類(ヒト)は中間宿主である。

(宿主については微生物の宿主とは・固有宿主・中間宿主・多宿主?人体への寄生部位?)

有性生殖と無性生殖(ヒトの体内)をおこなう。

母から子に垂直感染することもある。

先天性トキソプラズマ症といい、

  1. 水頭症
  2. 脈絡膜炎による視力障害
  3. 脳内石灰化
  4. 精神運動機能障害

を引き起こす。

血清学的診断で明らかにする。

関連事項:TORCH症候群

母体の症状は軽微にもかかわらず、

妊娠中の感染によって、胎児に重篤な感染症や、奇形を引き起こす

疾患の総称。

  • トキソプラズマ症
  • 水痘・帯状疱疹
  • 梅毒
  • 風疹
  • EB virus
  • 単純ヘルペスウイルス
  • サイトメガロウイルス

などがこれである。