医動物学各論~蠕虫~絶対に湖で泳いではいけない!(日本住血吸虫)
これまで、医動物の、原虫について書いてきました。
今回からは、蠕虫について書いていきます。(医動物=原虫+蠕虫)(蠕虫についても大まかに細胞性微生物~真核生物=原虫+蠕虫 - 医学部生の基礎医学こちらで学習しています。)
蠕虫類の分類(復習)
この記事の復習になりますが、蠕虫類は主に、以下に分類されます。
- 線虫類(糸状・ミミズ状)
- 条虫類(頭部+頸部+体節)
- 吸虫類(頭部に吸盤)
線虫類
線虫類としては、以下のものがあります。
- 蟯虫症(昔「ギョウチュウケンサ」があったと思います。)
- 回虫症(土壌媒介寄生虫・レフレル症候群)
- 糞線虫症(土壌媒介寄生虫・自家感染する・レフレル症候群)
- リンパ系フィリア(リンパ組織の炎症反応)
- 回旋糸状虫(皮膚病変・アフリカ・中南米に分布)
- アニサキス(生魚を食べる国・日本に分布。魚類を生で食べることで感染)
糞線虫症は、自家感染(自分が感染源となり、自分に感染させる)を繰り返し、過剰感染となって、重症化します。
アニサキスは、とんでもない腹痛を引き起こします。ただ、体内で数時間で死滅します。無理矢理内視鏡で手術して、アニサキスを取り出すこともできるのですが、それは体への負担が大きいので、結局、アニサキスで苦しむ人は、「数時間その痛みに耐える」というのが今の治療法のようです。
条虫類
条虫は頭部+頸部+片節で構成されています。条虫もいかに分類されます。
- 無鉤条虫(頭部に吸盤・牛肉を食べる地域に分布。ヒンヅー教国にはいない)
- 有鉤条虫(中間宿主はブタ。イスラム教国にはいない)
- 単包条虫(固有宿主はイヌやオオカミ。中間宿主はウシなど。)
- 多包条虫(固有宿主はイヌやオオカミ。中間宿主はげっ歯類)
吸虫症
軟体動物(貝)が中間宿主です。
有名なものは日本住血吸虫(日本独自の物だった。)です。
日本ではもうほとんどいません。(河川のコンクリート化などにより医動物が増える環境がなくなった。)1996年には流行終了宣言がなされています。
体を貫いて移動します。
小腸などに穴が開くため、その穴から、他の細菌などの二次感染が見られます。
対策としては、
- 水との接触を避ける(湖で泳いではいけない!!!)
- 用水路のコンクリート化
- 上下水道の整備
- 中間宿主貝を減らす
以上が行われています。