微生物の定義/細菌とウイルスの違い/腐るとは?季節性食中毒?
今回は、細菌やウイルスといった「微生物」について学んでいきます。
微生物って何?
微生物って何でしょう?漢字ののままに捉えれば、「微(ちいさな)生物(いきもの)」です。しかし、微生物の「定義」に関しては、多くの変遷をたどってきています。
昔の微生物の定義
微生物、昔は、漢字の通り、「微(ちいさな)生物(いきもの)」と捉えられてきました。具体的には
- 小さな=顕微鏡で見ることができる
- 生き物=自己増殖できる(勝手に増える)
この2つが微生物の条件とされていました。これらは、細菌や真菌、原虫に当てはまります。
昔から今に変わって定義が変わった!
しかしながら、「ウイルス」も微生物です。「ウイルス」は顕微鏡では見えませんし、自分で増えることもできないのです。
そこで定義が変わり、「固有のゲノムを持ち、自己の複製が可能」ということが微生物としての条件となっています。
ウイルスと細菌の違いってなんだ?
ウイルスと細菌は違う!だなんてさらっと書きましたが、これらは大きく違います。
増え方の違い
例えば、夏場に食べ物を放置しておけば、そこで「細菌」は繁殖します。一方で、ウイルスが増えることはありません。
細胞は、栄養や温度、水(湿度)さえあれば、勝手に増えることができるのです。
一方で、ウイルスは、他の生き物の細胞に寄生し、その細胞の体を使って、増えるのです。そのため、ウイルスは、寄生する細胞がないと、死んでしまいます。
例えば、インフルエンザで有名な、インフルエンザウイルスも、空気中にいたら、どんどん死んでしまいます。ただ、空気中から人間の体に入り、人間の細胞に感染することで、ウイルスは生き延び、増殖するのです。
大きさの違い
インフルエンザを引き起こすインフルエンザウイルスは「ヒト」の細胞に感染したりします。
ただ、動物に感染するウイルスばかりではありません。細菌に感染するウイルスもいます。(一般には「ファージ」と呼ばれています。)ウイルスは細菌相手にでさえ寄生するわけですから、ウイルスの方が細菌より小さいことは予想できるでしょう。
数値にしてみると大きく異なります。
- ウイルスは0.01~0,1μm
- 細菌は10~100μm
ウイルスと細菌は大きさの面でも大分違うことが見て取れると思います。
「腐る」の違い~ウイルスと細菌
ウイルスと細菌の違いが身近に感じられるのが食中毒です。
夏場の食中毒
夏場の食中毒の原因の多くは細菌によるものです。
夏場には温度や湿度は高く、細菌は増殖しやすいです。(自分で勝手に増えていくー自己増殖能)
そのため、食べ物を放置しておくと、どんどん細菌は増え、最終的に食中毒を引き起こします。
冬場の食中毒
では、反対に、冬場の食中毒は何が原因で起きやすいかと言えばウイルスが原因になりやすいです。
冬は寒く乾燥するため、細菌は増えにくいです。
一方で、ウイルスは寒いと「死滅しにくい」という特徴があります。
ウイルスは自己増殖できないため、空気中ではどんどん死んでいくのです。
ただ、寒いと、この死滅のスピードが遅くなるのです。そのため、ウイルスが生存しやすく、ウイルスによる食中毒が起きてしまいます。
違いを書けば
つまり、
- 夏場は細菌が増殖しやすく
- 冬場はウイルスは死滅しにくい
ため、夏と冬では、別々の要因が原因になって、食中毒が起きてしまうというわけです。
微生物の分類
ウイルス、細菌以外にも、微生物はたくさんいます。表にすると以下の通りです。
微生物は、まず、細胞性と非細胞性に分かれます。
細菌は、細胞性の微生物の中でも、特に、原核生物の一つです。
細胞性の微生物には、他にも、「真核生物」の微生物がいて、これらは真菌や原虫です。(真核生物は細胞に核を持ち原核生物は持たないという違いがあります。)
一方、ウイルスは非細胞性の微生物の1つで、他にもプリオンやウイロイドなどがあります。
このように、微生物は分類されています。この分類は大切なので、覚えましょう。